デジタル遺書

大丈夫になるように生きてる

「神は見返りを求める」ネタバレ感想

ネタバレを含む感想です

 

 

 

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気になっていた2023年最初の1本。面白かった。

お人好しのムロツヨシがストーカー化していくスリラー映画かと思っていたが、そんな単純な話ではなかった

「自分の生活を犠牲にしてまで人助けをしてはいけないし、人の負担を想像せずに安易に助けてもらってはいけない」という教訓を主軸にしながら、物語の展開が複雑に変化していく。

 

ゆりちゃんは予告で「恩を仇で返す女」とされているが、序盤のゆりちゃんはちゃんと感謝を伝られる子である(助けてもらうことに少し慣れてはいくが)。

 

叩かれながらも続けてきたYoutubeでどうしても成功したくて、知り合ったYoutuberとのコラボで自分を安売りしてしまうゆりちゃん。

借金の肩代わりと多忙な仕事、さらにはゆりちゃんの変化に追い詰めらる田母神

 

ゆりちゃんからすれば、最初に関係にヒビを入れたのは田母神だ。ボディペイントで視聴者を稼ぐやり方を否定しながらも、仕事が忙しく、ちゃんとゆりちゃんと向き合うことはなかった。

お人好しがすぎるあまり、ゆりちゃんに嫌われるのを恐れてちゃんと話し合わなかったことが2人の関係を歪めてしまった。

ゆりちゃんもゆりちゃんで助けてくれた田母神をあっさり切り捨てる、「恩を仇で返す女」と言われればそこまでなのだが、ゆりちゃんが先に裏切られた気持ちになっていたのだ。

 

登録者数が少ない頃からの被り物(ジェイコブ)をお焚き上げする企画の途中で火を消してしまうシーンが、本来のゆりちゃんの性格を表している。

「通過点」である、売れていない頃の自分と田母神を否定すると、背伸びして売れたお飾りの自分だけが残る。

田母神に作ってもらったパーカーを着て配信するゆりちゃんは、初心に帰ろうとしていた。田母神もまた、初期のゆりちゃんの動画を観て、純粋に応援していた頃の気持ちを思い出した。(そこからのサイン会での「もういいよ」は急で拍子抜けした)

人間誰しも性格に難はある。だが関係崩壊に至らせるのは状況の変化とそれに伴うコミュニケーションエラーなのだ。

 

田母神が病室でゆりちゃんにカメラを向けた理由が釈然としなかった。ゆりちゃんの笑っている顔が撮りたかったのか?? サイン会の日に殴られて流血しながら踊ってる動画を流す時点で結構狂ってたのかな。

 

ラストは2人とも酷い状況になって終わったので、人の心を軽視するなと警告する映画だと感じた。

 

人の嫌な部分の描写がうますぎて観た後どっと疲れた。常に心がざわざわする感じ。

イタい女を演じる岸井ゆきのがめちゃくちゃいい。