デジタル遺書

長めの遺書

努力したくない病

昔から絵を描くのが好きだった。親から何か褒められた記憶はあまりないけど、絵を褒められたことだけは鮮明に覚えている。

 

周りが褒めてくれるから描いていた訳じゃなくて、描いてる時、自分のこだわりを形にできること、自由な線を引けることがただ楽しかった。

 

ある時からあまり描かなくなってしまった。ネットには若くても素晴らしい絵を描く人、仕事が忙しくても毎日絵をアップする人が沢山いて圧倒される。自分が描かなくても誰も困らない。

 

また、絵を描くツールも進歩してきた。いつも流行に乗り遅れるマン、進歩のペースについていくのが難しい。ツールを使いこなして思い通りの表現をするために知識を吸収し、技術を獲得するための努力は、自分にはできないと思った。

 

昔は難しいことなんて考えず、感覚で描いていたから楽しかった。今感覚で描いたところで思った通りの絵にはならない。

絵の知識や技術を貪欲に吸収できる人と、そうでない自分とでは、根本的な違いがあると思った。

 

人と絵の話をする時、「辞めた」とは言わない。いつかまたちゃんと描きたい、と思いながら、「最近描いてないなあ」と答えるのを毎回やっている。

 

やりたいことの前に壁があると、そこで立ち尽くしてしまう。しんどいのは嫌いで、気楽が好きだから、回れ右して楽なことを探す。でもまたその壁の前に戻ってきてしまう。そんなことを何年も繰り返している。

 

壁を叩いてヒビを入れる、少しの努力も怖くてできないでいる。どうせ自分なんかには無理だって思いが邪魔をする。

 

大学受験とか部活とか、我武者羅に努力できたのが今では不思議だ。どこからそんな気力が湧いていたんだ。